害獣プロコラムクマ被害が増える理由

クマ被害が急増している理由
山の餌不足だけではない、人とクマの距離の変化

クマ2026年8月31日害獣プロ(株式会社T.O.P)
夜間、住宅地の道路に現れたツキノワグマ

はじめにお断りします。クマは当社の対応獣種ではありません。 クマの出没や被害は、お住まいの自治体および警察の担当です。この記事は、害獣全般の情報として、公的な統計をもとに整理したものです。

2025年度、被害は前年の約2.6倍になりました

環境省が公表している人身被害の件数です。

クマによる人身被害(全国)
2024年度82件/85
2025年度216件/238

出典:環境省「クマによる人身被害件数」令和6年度・令和7年度。被害者数には死亡者数を含みます。

2.6倍件数
82件 → 216件
2.8倍被害者数
85人 → 238人
4.3倍死亡者数
3 人 → 13人

2026年度も、7月末までの速報値で49件・53人・死亡6人が報告されています。 年度途中の数字なので、今後修正される可能性があります。

ただし、被害の場所は大きく偏っています

「全国で急増」という言葉だけが独り歩きしがちですが、どこで起きているかを見ると、まったく違う景色になります。

2025年度に人身被害が多かったのは、次の県です。

いっぽう、一都三県はこうなっています。

一都三県の人身被害件数
2024年度2025年度2026年度7月末
東京012
埼玉100
千葉000
神奈川100

出典:環境省「クマによる人身被害件数」令和6・7・8年度。3年度を合計して東京3件、埼玉1件、神奈川1件、千葉0件。死亡例は0件です。

一都三県では、3年度を合わせても5件。死亡例はありません。東京の発生も、奥多摩など西部の山あいに限られます。

全国の数字は本当に増えています。ただ、その大半は東北・北陸で起きていることであり、 首都圏の住宅地でクマに遭う状況ではありません。ここを混ぜて語ると、必要のない不安だけが広がります。

「山に餌がないから」だけでは説明できない

実りの少ない秋の森

クマの大量出没では、ブナやナラ、ドングリの不作がよく注目されます。 秋のクマは冬眠に備えて多くのエネルギーを必要とするため、 木の実が不足すると、食べ物を探す範囲を広げ、人里まで移動する可能性が高まります。

ただし、餌の不作だけですべての被害を説明することはできません。クマの出没には、自然環境と人間社会の変化が複雑に関係しています。

生息域が、人里の近くまで広がっている

以前は、集落とクマの生息地の間に、人が田畑や森林を手入れする「里山」がありました。人の出入りが多い里山は、 クマにとって近づきにくい緩衝地帯として働いていました。

ところが過疎化や高齢化で里山の利用が減り、耕作放棄地や藪が増えました。人目を避けながら集落の近くまで移動できる環境が生まれています。環境省も、人間活動の低下や耕作放棄地の拡大が、 クマの警戒心の低下や人里への出没につながる可能性を指摘しています。

人里には、高カロリーの食べ物がある

収穫されずに残された果樹

クマを人里へ引き寄せるのは、農作物だけではありません。

一度そこで食べ物を得たクマが、その場所を再び訪れることがあります。農林水産省は、放任果樹や生ごみを放置しないこと、 電気柵などで農地への侵入を防ぐことを対策として挙げています。

被害が起きる「場所」も変わっている

2025年度は、7月以降の人身被害について、前年までよりも人の生活圏で発生する割合が高い傾向が確認されました。

ここでいう生活圏には、市街地、人家周辺、事業所、公園、農地、道路が含まれます。 つまり危険は登山中だけのものではなく、日常生活に近い場所へ移りつつあります。

必要なのは「人とクマの境界」をつくり直すこと

藪を刈り、境界を取り戻した集落

被害を減らすには、出没した個体への対応だけでなく、寄せ付けない環境づくりが欠かせません。

政府も、緊急対応に加えて、誘引物の管理、緩衝帯や侵入防止柵の整備、 個体数調査、捕獲人材の育成などを進めています。

考え方は、ほかの害獣とまったく同じです。餌になるものを断ち、入ってくる経路を塞ぎ、境界をはっきりさせる。 クマでも、屋根裏のネズミやハクビシンでも、「追い払う」より「入れない状態をつくる」ほうが確実という点は変わりません。

クマを見かけたら

ご自身で対処しないでください

クマは当社の対応獣種ではありません。近づかず、写真を撮ろうとせず、その場を離れてください。 そのうえでお住まいの自治体(鳥獣担当課)または警察へご連絡ください。人の生活圏での対応は、自治体が主体となって行う仕組みが定められています。

まとめ

クマ被害の急増は、ひとつの原因で起きたものではありません。 分布の拡大、山の餌の変動、里山の管理低下、そして人里に残された食べ物。複数の条件が重なり、人とクマの境界が薄くなった結果だと考えられます。

一都三県で実際に多いのは、屋根裏の害獣です

クマは当社では対応しておりません。ネズミ・ハクビシン・アライグマ・コウモリ・イタチであれば、
現地調査・お見積り・出張費0円でうかがいます。

参考資料

  1. 環境省「クマに関する各種情報・取組」(人身被害件数 速報値/令和6・7・8年度)
    https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort12/effort12.html
  2. 環境省「クマ被害対策ロードマップ」(令和8年3月27日)
    https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort12/kuma-counter-roadmap-r080327.pdf
  3. 環境省「クマ類の出没対応マニュアル-改定版-」
    https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5-4a/index.html
  4. 農林水産省「クマ類による被害防止」
    https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/r5/r5_h/trend/part1/chap5/c5_7_00.html

一都三県で実際に多い害獣については、アライグマが増える理由東京のネズミ相談件数でも公的資料をもとに整理しています。

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